ちょっと見てないあいだにブドウが大きくなっています。
ネットなどで調べると、房の形を整えたほうがいいらしいのですが、
「いいの、いいのアバウトで、売りに出すわけではないからねー」
と、ここのブドウの植え付けオヤの大家さんは言ってます。
食べられそうになったら、じゅんばんに採ってきて、かたっぱしから食べていって、食べきれなかったらジュースやジャムやシャーベットにするのだそうです。
いっぽう、こちらアケビのツルは、切っても切っても、もー、どんどんのびてきます。
ほうっておくと、歩行者や、チャリコに乗ってるひとに接触するので、気がついたらじゃまにならないように、道路と反対側に、ぐにゅっと曲げてつっこんで、ある程度たまったら、まとめてチョキチョキカットすればいいんだよ? とも、大家さんは言ってます。
今、田植えの植え付けキカイを積んだトラックが引き上げていきました。
このへんの今ごろの田んぼシゴトは、土日が多いです。
あたらしめの住宅と未耕作地に囲まれた田んぼは、たいがいコマ切れ田んぼで、それぞれ担当するひとも、植え付けキカイなども、別々みたいです。
お昼に、大家さん特製の納豆キムチ・チャーハンを食べたあと、水だしコーヒーというのを飲みながらテレビを見ています。
東京MXTV「日本の祭」という番組でした。
《「虫追い」の神事を現在につたえる》と、いうようなテーマで、日本語がとても上手な外国の研究者? のひとが、その「お祭り」の伝統を引き継いで、若い人たちに伝えている関係者のひとたちにインタビューしたり、いっしょに腰に太鼓をつけて踊ったりしています。
「虫追い」っていえばね、と大家さんが言いました。
「ここの、南側はずーっと向こうまで、田んぼだったのよねー、田植えがおわって、ちょっと経つと、ヘリコプターが低空飛行でね、南側からこっちに向かって飛んでくるの・・」
「クスリまきですかー?」
「そう、朝。早朝。のびざかりの稲の葉っぱに朝露がついてる時間帯だとクスリがくっついて効果があるとかで、けっこう早い時間から、もーすごかったのよー、バリバリバリバリバリーーーって」
「栗林にはひっかからなかったんすかー?」
「減反ていうのがあって、田んぼ埋めて、畑になってからで、そうするとこんどは、その畑の南側に大きな住宅ができてね・・」
「・・」
「それで、畑もうまくいかない、空き地にしとくわけにもいかない、でしょ、それで地主さんが、栗の苗木を一本一本植えて、林になって・・」
「夏になると、日陰で昼寝するひとがきて・・」
「ほー、よくしってる。それが原因かどうかわからないけど、とつぜん地主さんがトラクターのっかってきて、栗の木にロープつないで、みーんな引っこ抜いちゃった・・」
「ひえー」
「それとー、ね、さっきの《虫追いのお祭り》ってさー」
「・・」
「いっとうはじめに、誰かが、あのムラのご先祖に、教えたわけだよね?」
「・・」
「どっから、きたんだろね? 教えたひと?」
「・・」
「あとさ、ヘリコプターバリバリバリバリバリーーーもね、どっからきてさ・・」
「・・」
「どこに消えてったの?」
(ヘリコは、まー、ひこーじょーだとおもうけど)
・
・
・
【つづきます】